環境対策・地域共生策

成田空港の更なる機能強化に当たっての
環境対策・地域振興策の基本的な考え方

更なる機能強化の実現にあたりましては、これまで以上に航空機騒音の影響が広範に及ぶとともに、特に夜間飛行制限の変更によって地域の皆様に大きなご負担をお掛けしてしまうことになります。

そうしたことから、当社は2018年3月に開催された四者協議会におきまして、空港周辺地域における生活環境の保全を図るための「環境対策・地域共生策の基本的な考え方」を取りまとめました。

この基本的な考え方は、これまでに開催された住民説明会等での地域の皆様からのご意見、成田空港圏自治体連絡協議会からのご要望、千葉県知事からのご要請を踏まえて取りまとめたものです。

当社といたしましては、この基本的な考え方に沿って、環境対策・地域共生策の充実を図り、これにより地域と空港との共生共栄を実現して参りたいと考えています。

項目 環境対策・地域共生策の基本的な考え方(概要)
2018年3月13日 四者協議会で取りまとめ
50万回コンターに基づく
対策範囲の拡大等について
  • 夜間飛行制限の変更を加味した上で、発着回数「50万回時」を前提とし、これまでの概ね10年という騒音影響予測に比べより長期を見越した予測を行う。(騒防法の区域指定や、騒特法に基づく都市計画決定の基本となる。)
  • 50万回コンターに基づき、集落分断に配慮した形で従来の運用にとらわれない対策区域を設定。隣接区域の設定についても、地域の皆様からのご意見をうかがいながら、関係機関と協議を行う。
  • A滑走路側については、コンターの拡大は見込まれないものの、生活環境保全の観点から現状の対策区域を維持する。
  • B滑走路南側の現状の対策区域については、C滑走路供用によりB滑走路南側の運用が終わるまでは、現状の対策水準を維持する。
  • 従来の横風用滑走路の整備は今後予定せず、今回の騒音コンターでもその騒音影響は生じないことから、現状の騒防法上の対策区域について必要な見直しを行うとともに、対策区域を縮小した他空港の事例を参考に、必要な経過措置を設ける。
    50万回コンターに基づく対策区域はこちら(2020年4月1日〜)
防音工事の施工内容の改善

2018年10月1日〜 A滑走路側で先行実施
2020年4月1日〜 対策区域を拡大
ペアガラス
  • ペアガラスについて、標準仕様に準ずるものとして、市販防音サッシ及びペアガラス代金の合計額に対して、特殊防音サッシ及び単板ガラス代金の合計額を超えない範囲内で助成する。
世帯の人数による限度額等の柔軟化
  • 一人世帯の住宅であっても、世帯主に子や孫がいる場合には、一時帰宅することを考慮し、その同居の有無に関わらず二人世帯とみなすことにより、防音工事の限度額等を引き上げる。
浴室、洗面所、トイレの外郭防音化
  • 浴室、洗面所、トイレについても外郭の防音工事をする方が室内の建具を防音化するよりも合理的と認められる場合には、限度額の範囲内で外郭の防音工事を可能とする。
深夜早朝対策
夜間飛行制限の変更について(2019年10月27日より実施)
  • C滑走路供用前の当面の対応として、内窓等の深夜早朝対策を集中的に実施することを前提にA滑走路に限定して運用時間を6時から0時までに変更する。(A滑走路の発着時間枠の変更に伴い、健康影響調査を含む生活環境への影響調査を実施)
  • 夜間飛行制限変更の先行実施を踏まえ、A滑走路側の騒音下の市町(成田市、芝山町、横芝光町、山武市、河内町)に対し、交付金の中から環境対策に充てることを目的とする「A滑走路特別加算金」を交付する(C滑走路供用までの時限措置)。
  • C滑走路供用後は、滑走路別に異なる運用時間を採用する「スライド運用」を導入し、飛行経路下の静穏時間を7時間確保した上で、空港の運用時間を5時~0時30分までとする。
  • いずれの場合においても、現在設定されている22時台の便数制限は撤廃し、弾力的運用も30分に限定して残置。
寝室内窓(うちまど)設置
  • 地域住民の安眠を確保する観点から、夜間飛行制限変更の実施と併せ、民家の寝室に対して、既存の防音工事に併せて概ね35dB~40dBの防音効果が見込まれる内窓を設置する。
    (対象:騒特法航空機騒音障害防止地区内及び同地区と同地区の間に挟まれ谷間になる区域)
  • 「寝室」であれば現に居住する家族の人数分の部屋に対し内窓を設置する。
※2018年10月1日~ A滑走路側で先行実施、2020年4月1日~ 対策区域を拡大
寝室の壁・天井の補完工事
  • 内窓設置の効果を最大限発揮させるため、壁・天井の防音工事が行われていない場合には、一定の限度額の範囲内で、壁・天井の防音工事を行う。
※2018年10月1日~ A滑走路側で先行実施、2020年4月1日~ 対策区域を拡大
深夜早朝における運航機材の制限
  • 運用時間を延長することとなる5時台及び23時以降の時間帯に運航する航空機については、低騒音機※に限定する。

※成田航空機騒音インデックスA(B787、B747-8、A380、A320等)、B(B777、B767等)及びC(B737等)に適合する航空機

交付金の充実
  • 50万回コンターによる世帯数増に加え、年間着陸回数についても、空港容量に基づき算出するという考え方に改めることにより、先行的な交付総額を引き上げる。(2020年度より実施)
    【2015年時点】世帯数割:30万回、着陸料割:23万回(実績値)
    【2020年度以降】世帯数割:50万回、着陸料割:50万回(空港容量)
  • 空港周辺地域の均衡ある発展に寄与する目的で、一定の騒音区域に含まれる市町に対し、その財政力等も勘案した上で、毎年交付金のうちの一定額を「地域振興枠」として優先交付する。
  • なお、「地域振興枠」については、従来使途対象外であった教育・医療・福祉等への活用を可能とすることで、市町が行う様々な町づくりの取り組みを効果的に支援する。
落下物対策
移転対策
  • 騒特法に基づく移転補償の対象となる区域について、従前以上に将来の増便を加味した騒音コンターを作成することで、結果としてより広範な範囲の設定を可能とする。
▶2020年4月1日~ 対策区域はこちら
航空機落下物被害救済支援制度(2018年4月1日導入済)
  • 万が一落下物が発生した場合において、被害に遭われた方を支援する制度(落下物事案が発生した際の「見舞金のお支払い」、実損が生じた際の「立替金の支払い」、地域の皆様と航空会社の間に入った「円滑なサポート」)を創設する。
空港を活用した地域振興、
まちづくりへの取り組み
  • 空港周辺地域の均衡ある発展に寄与する目的で、一定の騒音区域に含まれる市町に対し、その財政力等も勘案した上で、毎年交付金のうちの一定額を「地域振興枠」として優先交付する。
  • なお、「地域振興枠」については、従来使途対象外であった教育・医療・福祉等への活用を可能とすることで、市町が行う様々な町づくりの取り組みを効果的に支援する。(再掲)
  • 2018年3月13日の四者協議会で決定された「基本プラン」及び2020年3月27日に策定された「実施プラン」に基づく地域づくりの実現に向け、関係者で連携して取り組む。

基本プラン(2018年3月13日策定)   実施プラン(2020年3月27日策定)

  • 成田空港周辺の地域交通のあり方等について、地域振興連絡協議会において調査を実施する。

現行の環境対策・地域共生策はこちら

寝室への内窓設置(深夜・早朝対策)

夜間飛行制限が変更されれば、これまで以上の深夜早朝に航空機が運航されることとなり、より一層のご負担をおかけしてしまうことになります。そのため、地域の皆様の安眠を確保するという観点から、その実施と併せ、騒特法航空機騒音障害防止地区内及び同地区と同地区の間に挟まれ谷間になる区域の家屋の「寝室」であれば、現に居住する家族の人数分、既存の防音工事と併せることで35~40dB程度の防音効果が見込まれる内窓の設置を行います。

※2018年10月1日~ A滑走路側で先行実施、2020年4月1日~ 対策区域を拡大

防音効果

通常の防音工事に加え、寝室に内窓を設置することで、例えば80dBの航空機が運航した場合でも、内窓の防音効果により、寝室内が例えばおおよそ45dBになったとすれば、図書館ないし静かな事務所並みの静穏が保たれると考えます。

工事内容

現状使用しているアルミサッシを残したまま、その内側に単板ガラス(5mm)を使用した樹脂製サッシを追加施工するもので、現状の窓枠を利用し、内側にフレームを取り付け施工することから、大がかりな工事が不要です。

これにより、外窓と内窓との間の中間空気層により、防音効果を高めます。※原則、壁や窓を壊す必要はありません。

内窓設置イメージ

※内窓設置の効果を最大限発揮させるため、壁・天井の防音工事が行われていない場合には、一定の限度額の範囲内で、壁・天井の防音工事を行います。